今回の講演題目「地球温暖化神話」に多くの方が興味を持たれたと思います。事前に
「聴くのを楽しみにしている」「出席できないので講演要旨がほしい」、「地球温暖化に
ついて議論したい」などの問い合わせがあったようでした。
20年前のCOP3で締結された京都議定書によって多くの人々が地球温暖化問題を
知るようになり、今や「神格化」され、世界各国の政策にも影響を及ぼしています。
しかし一部の学者や研究者は、「人為的な温暖化は存在しない」、「人間社会が排出
するCO2が温暖化の由来ではない」と主張し、議定書の基となっている科学的データの
信憑性に懐疑的です。
その昔、為政者や宗教界が天動説を唱えていたのに対し、「それでも地球は回っている」
と主張した地動説学者との論争がありましたが、今回の講演は、その現代版とも
言うべき「それでも地球は温暖化しない」という温暖化懐疑論の存在を見据え、「神話」と
題して講演されたものでした。
もともと地球温暖化対策のCO2排出権取引のシステムには違和感を抱いていた私は、
この講演を聞いたあと改めてネットを覗いてみました。
多くの学者や研究者が激しい論争を繰り広げ、お互いに名指しで反論、中傷が
入り乱れ、裁判沙汰にもなっているのには驚きました。いまや地球が動いているか
止まっているかは、受験生以外は日常生活上どちらでもいいと思いますが、地球温暖化に
ついては人類や白熊が滅びるとか滅びないとか言われる問題なので、関心を持たざるを
えません。
人為的な温暖化の真否に関わる気温データ(測定場所や時期、測定精度の問題)の
議論について我々素人はどちらが正しいかの判断をする術はありません。また、熱由来の
議論については、日ごろエアコン、テレビ、IT製品などからの熱放射や車の排気熱を
身近に実感しているのですが、空気中に体積比で約0.03%しか存在しないCO2の温室
効果のほうが熱放射や排気熱の100倍も大きいと言われると、もはや文字通り雲の上の話
になってしまい、やはりこの議論にも賛否の判断が出来そうにありません。
以上のように雲の上の話を「神話」と思うかどうかは、今の段階では人それぞれの思想、
哲学に寄らざるを得ないと思われますが、講演のまとめとして述べられた「人類の消滅は
地球温暖化に因るよりも、資源・エネルギーの枯渇に因るほうが早い」とも言われること
から、我々はこれまでも言い続けられてきた省エネ、省資源に努めることがやはり重要
であり、ひいてはこのことが熱放射削減とCO2削減にも寄与すると強調されたことに同感
できた講演でした。
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